なにを求めて子供を塾に入れるのか。それは99.9%の保護者様が「成績を上げるため」と答えると思います。まあ、それはそうでしょう。
私は中学の時に塾に通っていました。このとき親は何を考えて塾に入れてくれたのだろうか。成績を上げるためなのか、私が塾に通いたいと言ったからなのか、理由はわかりませんが、塾に通う私自身は明確な目的をもって通っていました。
その目的は、先生から勉強とは関係ない話を聞くことです。
子供はとても狭い世界で生きています。家、そして学校、基本的にこの2つの世界しかありません。経験を伝えてくれる大人は学校の先生くらいですし、これがとても窮屈に感じていました。もっと知りたい、世の中のほんとのところを知りたいと思っていました。
私の通っていた塾の先生は数名適当な先生がいて、授業をまともにしないことも珍しくありませんでした。ただ雑談しているだけという 笑。でも私にとってはそれが楽しくて仕方なかった。先生の経験、大人の世界、今世の中がどういう方向に向かっているのか、クローズドの場でしか話せないこともたくさんあり、勉強になることばかりでした。(塾がクローズドな場であるかは怪しいですが)本当におもしろくて、どの授業よりも質問したと思います。
私は興味ある話しか聞けない病に罹患していますから、英語の授業をされても、理科の授業をされても、右から左へでした。結局テスト近くなって家で教科書を開いて一から自分で勉強している状態です。何のために塾に通っているかわかりませんが、それでも私にとっては塾はとても意義あるものでした。それでよかったのです。
でも、そんな適当さでも先生の質は高いので、生徒の成績は上がっていきます。そして次第に生徒が増え、きっちりした組織になっていきました。組織は成熟していくと官僚化しますから、やるべきことをきっちりやるような、私にとってはつまらない塾になっていってしまいました。
適当だった先生もちゃんと授業をするようになるのですね 笑。それに対して何度異議を訴えたかわからない。「お前の気持ちはうれしいが・・・わかるだろ?」そう言われてとても悲しかったのを覚えています。
というのが私の感じていたことですが、だからといって中学生だった私が感じていたことを実行に移すわけにもいきません。でも今は勉強一筋のまじめ塾になってしまっていますから、それはそれで生徒が窮屈に感じていないかなと不安でもあります。なにごとも「バランス」が大切ですから、様子をみつつ少しずついい塾にできていったらと思っています。