あるお母さんとの夏休み中の面談で、とても興味深く、ためになるよいお話を伺えました。これはお母さん方のためになることだと思いましたので、一部脚色して、ここで共有させて頂こうと思います。
お母さんはあるときから我が子とコミュニケーションが取れなくなり困っていました。子供の日常の様子、何を考えているのか、何を思っているのか、そういったことを知りたくても教えてくれません。
子供について知りたいと思ったら、お友達のお母さんに聞くしか手がありませんでした。自分の子供のことなのに、他の人に聞くなんて、それが悔しく、不甲斐なく、涙したこともあったようです。
そのときお母さんがすごかったのは、その原因を自分に求めたことです。自分は何がいけないのだろう?どうすれば自分に話しかけてもらえるようになるだろう?自問自答しました。
そして出た答えは、自分は子供が何かをいったときにそれを受け入れずに意見してしまう傾向がある、ということでした。
例えば、「今日友達に嫌なこといわれた」と言われても、深く聞くことなくすぐに「あなたがそもそもいけないんでしょ」と口にしてしまう、といったようなことです。
だからこれからは子供の言ったことを否定したりせず、まずはしっかり聞いて、それを受け入れるようにしようとしました。
そしたら、そこから徐々に徐々に関係が回復していって、今では何でも言ってくれるし、相談してくれるようになったとおっしゃっていました。
私はこの話を聞いてとても感動してしまいました。その生徒もこんな素敵な人がお母さんで幸せだなあと思います。
話してくれない、言うことを聞かないと悩みを抱えているお母さんは結構いると思います。私はその原因として、「信頼関係の欠如」がそこにはあると考えています。だから改善するためには信頼の回復が不可欠であって、それには私の経験、感覚だとかなりの時間がかかります。場合によっては1年経ってようやく成果が出始めることだってあります。
解決は簡単ではないのです。
でもこのお母さんは困難な問題を解決しました。子供を責めるのではなく、原因は自分にあると考えて自分を変えていった。そしてゆっくり辛抱強く時間をかけて改善していったのです。私にも同じようなことができるだろうか。。。自信はありません。
この塾の生徒は成績を上げている子が多いと思います。その要因を何だろうと考えていましたが、保護者面談を通してそれがわかりました。それは保護者様が素敵だからです。こどもたちもそれは感謝しなくてはいけないことです。
今回紹介したお母さん以外でも、ガミガミいうのではなく、温かい広い心で子供を受け入れてくださっている方たちばかりです。もちろん、我が子にはここをもう少し改善してほしい、という思いはもっています。でもそれいって押し付けるのではなく、その子のペースで成長していくのを見守ってくれている。
そりゃ子供も伸びていくでしょうなーと普通に思います。
他にも、勉強がとても苦手な(苦手だった)子がいますが、その子は不思議なことに、「自分なんてだめだ」「やっても無駄だ」「勉強なんてつまんない」といった成績の低い子にありがちなマイナスの心を持っていませんでした。だから素直にアドバイスは聞くし、自分で家で勉強をやってくるしで、当然成績も上がっていく。これからもっともっともっと上がっていくでしょう。
何でこの子は素直に頑張れるんだろう、不思議な子だなあと思って、お母さんと話してみるとその理由がわかりました。お母さんは絶対にその子を否定する発言、自尊心を損ねる発言をしないのです。
普通だと自分の子が周りの子よりも能力が劣っていると、親は心配になってついついダメな部分を指摘してしまいたくなりますが、そのお母さんはそれをしてこなかったのですね。だから自信を失うこともなかったし、前向きに何でも素直に取り組める子のままで、この塾に出あってもらえたのです。私はこんな子、お母さんに出会えてすごくラッキーでした。
親を見れば子がわかる
子を見れば親がわかる
よくいわれることですが、この塾を始めて1年、本当にその通りだなあとしみじみ実感しています。いつもありがとうございます。