昨日、わからない問題があるので教えてください、と質問に来てくれた方がいました。生徒ではありません。お母さんです。
たぶん、そのお母さんは、勉強しなさいよ、と言葉を投げっぱなしにしていないのですね。ただやれというのではなく、一緒に並走して、「わからない問題があったら、お母さんに聞きなさい。解けないかもしれないけどね」というスタンスで子供に向き合ってくださっているのではないかと思います。
大事なのはお母さんが完璧に数学を教えられることではありません。一緒に大変な課題に向かっていることそれ自体が大切なのです。「やりなさい」から「一緒に頑張ろう」という形になるので、子供も自然に勉強に向かうことになります。お母さんもお母さんで子供がどんな難しい問題に取り組んでいるかわかりますから、ただ単に点数だけ見て、子供を判断することがなくなります。
お母さんに勉強を教えるなんてとても新鮮でした。こういった形でお子さんに向かい合ってくださっていて私はとても嬉しかったです。
先月、株式会社ティアの代表取締役社長の冨安さんの講演を聞いてきましたが、そこで「自分がやりもしないのに、子供にやれやれいう親が多すぎる。子供には本を読みなさいというのに、自分は本を読まない。そんなことで本を読む子に育つはずがない」とおっしゃっていたのを思い出しました。私も全くその通りだと思います。これは子育てをこれまで8年やってきてわかりました。子供は親の発する言葉を聞いているのではなく、親の背中を見ているのですね。
冨安さんとお母さんに再度大切なことを気づかせていただきました。