と、よくある本のタイトル風にしてみました。
私はむかーしむかしに牛丼屋で働いたことがあります。むかーしむかしの話なので今とは全然状況は違うと思うのですが、牛丼屋での仕事はとても大変でした。
牛丼一杯をすごく安い値段で売っていますから、これで利益を出そうと思ったら、いろいろなところでコストを削減しなくてはなりません。従業員は必要最低限の人数で、ものすごい仕事量をこなすことが求められます。本当に大変で、私がいたところはみんな疲弊していました。
私はよく怒られました。
あれもこれもと覚える仕事はたくさんあります。新しい仕事を次々と上司が教えてくれるのですが、全然覚えられないのです。忘れないようにメモを取ろうとすると、「メモは取らなくてもいいから、とりあえず聞いて!」と言われ、仕事を忘れて聞くと「それ言ったじゃん。メモとったの?」と言われ大変でした。
この仕事をしていて一番よく言われたのが、
「あのさあ、それ前もいったじゃん!何度も同じこと言わせないで!」
です。
このときはいつも、
「何度も同じこと言わせないでって言うけど、じゃあお前は一度言われたら、すぐにできるようになるんか!一度やり方を教えたら、すぐに自転車乗れるようになるんか!自分のことを棚に上げて、人に要求なんかするな!えらそうなことぬかしやがって、お前なんか教育者失格なんじゃ!」
と、心の中で叫んでいました(笑)。
このときは嫌な気持ちでした。おかげで、「僕は『何度も同じこと言わせるな!』って言う大人にはならないぞ」と強く自分に刷り込まれました。これは今の仕事に生きていると思います。
勉強なんて難しいから、何度も教えてもらったらいいのですよ。そうしないとできるようにならないから。同じことを何度も説明してもらって、今日教えてもらったことを、明日も同じように教えてもらって、できるようになってもまた時間があくとできなくなったりするから、そしてはまた教えてもらって、そうすることで少しずつ理解が進んでいくのです。
「何度も同じことを言わせるな」
というのは教育ではない。むしろそんなこと言われたら聞けなくなって、そこで成長が止まってしまいます。
もちろん、
「わかんないからさあ、教えてよ。お前何度も教えるっていったよね?教えてよ、ほら。わかんねえんだよ」
と言われたら、私も付き合う気はないですけど、勉強できるようにしたくて、本当に頑張っている子であったなら、応援したいです。
間違えるのは悪ではない。教えてもらうのも悪ではない。
間違えること、間違えたものを教えてもらうこと、の抵抗がなくなってくると、成績は伸びていくと思います。